■20周年です
 
 「日本の米カレンダー」2009年版が出来ました。20年目です。毎年毎年、20年もの間、後押しして下さった読者の皆様に、お礼を申し上げます。
  警告してきた通りになってきました  
   このカレンダーは別名を「平成の世直しカレンダー」。更に人呼んで「富山和子の怒りの美学」。
 けれど20年続けてなお、世の中なかなか良くならず、環境も食糧危機も山村の荒廃も、警告してきた通りになってきました。今になってマスメディアも、農林漁業をないがしろにしてきた政治を問題にし始めています。遅過ぎます。鈍感過ぎます。
 
  記念出版のお知らせ  
   とはいえカレンダーの20年は、「日本の美再発見の旅」、「日本列島との対話の旅」であり、この国に生まれたことの幸せを考えさせられた20年でもありました。20年分を1冊にまとめられないものか、とのご要望にお応えして、このほど『水と緑 日本の原風景』(英文対訳、家の光協会)が出版されることになりました。
 すでに10周年を記念して『水と緑の国 日本』(講談社)が出版され、外国への贈答にも使われるなど大好評で版を重ねて参りましたが、今回の『水と緑 日本の原風景』は、その後の10年分を中心に約60点の作品を収録、20年間の総まとめとしての解説を加え、いっそう読みやすい本になっています。どうぞ前著とあわせ、座右に置き、「日本の美再発見の旅」をお楽しみ下さい。
 
  震災ダム,土砂ダム  
   今年は震災ダム、土砂ダムの語が語られ、国土の敏感さ脆弱さを思い知らされた年になりました。この震災ダムに象徴される国土の性質こそ、日本文化を語る場合、ふまえたい基礎的条件です。これをふまえてこそ、他の諸文化とは異なる日本文化の特質が初めて見えて来ます。具体的には4条件です。『環境問題とは何か』(PHP新書)をご参照下さい。
 さてその震災ダムについて。江戸時代、鬼怒川上流に出来た湖の水を抜こうとして果たせず、切腹した会津藩の家老。今もその墓が観光名所になっています。一方、福井県の三方五湖では、震災ダムの水を抜いて、後世まで偉人としてたたえられている小浜藩の奉行。この明暗分けた物語は、「海抜けの話」と題して『日本再発見 水の旅』(文藝春秋)、及び『水の旅』(文春文庫)に所載。NHK「テレビコラム」でもお話ししたものでした。なお鬼怒川の湖はやがて舟運も通うようになり、既成の湖として定着するのですが、40年後に突然決壊し、関東平野水浸しの大水害になるのです。
 私たちの住む国土というものを知る上で、ご参考になると思います。
 
  林業や国有林に目を向けて  
   この期に及んでなお文科省は、小学校学習指導要領から林業を削除したままです。「農業、林業、漁業」とあったものが昭和52年度から、「農業、(削除)、水産業」と変えたのです。国会問題にもなりましたが、いつの間にか既成事実になり、もう問題にもされなくなりました。怒り続けているのは私だけなのでしょうか。(『環境問題とは何か』参照)。
 そんなことへの怒りも込めて書いたのが<6月合掌造り> と <12月雪模様>です。また12月の早明浦ダムのエピソードは、「1票の格差問題」のことです。長くなるので書ききれませんでしたが、やはり『環境問題とは何か』をご参照下さい。
 
 
2008年秋 富山和子